
屋根塗装の見積もりを取るために業者に点検を依頼したところ、「お宅の屋根は塗装できません」と言われて驚いて検索されたのではないでしょうか。
「高い工事を勧めるための営業トークでは?」と不安に思われるかもしれません。
ただ、実はこの「塗装できない」という診断は、屋根の素材を熟知した優良業者だからこその言葉である可能性が高いです。
実は、屋根材の性質や特定の製造年代の製品、あるいは劣化の進行具合によっては「塗料を塗っても全く意味がない(すぐに剥がれる・屋根材ごと崩れる)」屋根があります。
そのような屋根に無理やり塗装をしてしまうと、塗装費用が無駄になるだけでなく、屋根の寿命をさらに縮めることになりかねません。
この記事では、関西圏で年間2,000件以上の屋根リフォームを手掛ける私たちゼファンが、その本当の理由と、損をしないための正しい対処法をプロの目線でお伝えします。
塗装できない屋根とは?「塗装NG」と言われる理由

「塗装できない屋根」とは、塗料を塗ること自体が物理的に不可能ということではありません。
- 塗っても短期間で剥がれる
- 塗装の工程(高圧洗浄や職人が乗ること)で屋根材が割れる
- 雨漏りリスクが上がる
など、工事として成立しにくい屋根のことを指します。
「塗装できない」と判断される主な理由は、以下の3つに分けられます。
- 素材自体の性質によるもの
そもそも塗装による保護を必要としない、あるいは塗膜が密着しない表面加工がされている屋根材(日本瓦など)です。 - 製造年代・製品の欠陥によるもの
アスベスト(石綿)規制の切り替わり時期に製造された「初期のノンアスベスト屋根材」に多く見られます。
屋根材そのものの強度が不足しており、内部から崩れてしまうため、表面だけを塗装しても土台ごと剥がれ落ちてしまいます。 - 劣化の進行・下地の問題によるもの
素材自体は塗装可能でも、すでに広範囲でひび割れが起きていたり、屋根材の下にある「ルーフィング(防水シート)」や「野地板」が傷んで雨漏りしている場合です。
塗装はあくまで表面保護であり、下地の傷みを直すことはできません。
【素材・製品別】塗装できない・塗装をおすすめしない屋根材一覧

現在、屋根リフォーム市場で最も深刻な問題となっているのが、1990年代後半から2000年代にかけて製造・販売された「初期のノンアスベストスレート」です。
アスベストを含まない環境に優しい建材として急遽開発されましたが、経年劣化により極めて脆くなるという欠陥を抱えた製品が多く存在します。
これらの屋根材は、塗装をおこなっても塗膜ごと剥がれ落ちたり、高圧洗浄の水圧だけで砕け散ったりするため、塗装は絶対にNGです。
ここでは、代表的な塗装NG屋根材とその劣化症状を解説します。
ご自宅の建築年(築15年〜25年前後は要注意)と照らし合わせてみてください。
パミール(メーカー:ニチハ)

- 販売年数
1996年〜2008年(現在は製造中止) - 劣化症状
経年劣化により、屋根材の先端からパイ生地のように薄く何層にも剥がれていく「層状剥離(ミルフィーユ現象)」が起こります。
水分を吸いやすくなり苔やカビも発生します。 - 塗装不可の理由
この状態で塗装をしても、屋根材の表層ごと新しい塗膜が剥がれ落ちてしまいます。
また非常に脆いため、洗浄や職人が歩くだけで破損するリスクがあります。
セキスイかわらU(メーカー:積水)

- 販売年数
1990年〜2007年頃(後期・ノンアスベスト品が対象) - 劣化症状
1970年〜1990年頃の前期品(アスベスト含有)は頑丈ですが、1990年以降のノンアスベスト品は強度が大きく低下しており、割れや表面の塗膜剥がれが激しく発生します。 - 塗装不可の理由
経年劣化により基材が非常に脆くなっているため、塗装によるメンテナンスはお勧めできません。
レサス(メーカー:旧松下電工)

- 販売年数
1999年〜2006年9月(終売) - 劣化症状
築10〜15年程度で自然と表面に微細なヒビ割れや先端の欠けが発生し、屋根材が落下することもあります。 - 塗装不可の理由
強度が低く、高価な塗料を塗っても2〜3年で再びヒビ割れが発生してしまいます。
コロニアルNEO(メーカー:ケイミュー)

- 販売年数
2001年4月〜現在(※現在はコロニアルグラッサとして販売中) - 劣化症状
製造から10年前後で耐久性が激しく低下し、方向性のない無数のひび割れや、大きな欠け(破損)、反りが発生しやすいのが特徴です。 - 塗装不可の理由
塗装をしても短期間で塗膜が剥がれ、内部の劣化が進行して雨漏りや屋根材落下のリスクが高まります。
グリシェイドNEO(メーカー:クボタ)

- 販売年数
2001年〜2008年(終売) - 劣化症状
表面にうっすらと木目模様がある屋根材です。
10年を過ぎた頃から無数にヒビ割れが発生します。 - 塗装不可の理由
塗装後、間もない状態でヒビ割れが再発する事例が多数報告されています。
ザルフグラッサ(メーカー:クボタ)

- 販売年数
2001年12月〜2005年3月(終売) - 劣化症状
約10年程度でひび割れ、欠け、層状剥離が発生します。 - 塗装不可の理由
コロニアルNEOと同様に非常に割れやすく、塗装してもすぐに割れてしまうためお勧めできません。
アーバニーグラッサ(メーカー:クボタ)

- 販売年数
2001年〜2005年(終売) - 劣化症状
特徴的な切り込み構造(鱗のようなデザイン)により応力が集中しやすく、激しいヒビ割れや破片の脱落、層状剥離が発生します。 - 塗装不可の理由
人が乗ると簡単に割れるほど脆いため、塗装前の高圧洗浄や足場作業だけで破損が急激に拡大するリスクがあります。
シルバス(メーカー:旧松下電工)

- 販売年数
2001年〜2003年10月(終売) - 劣化症状
レサスの上位グレードですが、無数のヒビ割れや、踏み割れが発生します。 - 塗装不可の理由
塗装前の洗浄作業や職人が乗る作業自体が破損を広げる原因となるため、塗装工事は不可能です。
日本瓦(和瓦・陶器瓦・いぶし瓦)

これらのスレート材とは異なり、日本瓦は素材の性質上「塗装が不要」な屋根材です。
釉薬によるガラス質のコーティングや炭素被膜により、極めて高い耐久性と防水性を誇ります。
表面がツルツルしているため塗料が密着せず、無理に塗っても数年でポロポロと剥がれ落ちて見栄えが悪くなります。
塗装できない屋根の見分け方と自分でできるセルフチェック

ご自身の家の屋根が「塗装NG」の製品に該当するのか、あるいは劣化で塗装できない状態なのかを手軽に確認できる3つのポイントをお伝えします。
建築年と図面(設計図書)を確認する
最も確実な方法は、新築時や前回のリフォーム時の図面、仕様書、保証書などを確認することです。
「屋根仕上げ」の項目に、前述した「パミール」「コロニアルNEO」「レサス」などの記載があれば、その時点で塗装不可が確定します。
また、図面に記載がなくても、建築年が「1990年代後半〜2008年頃」に該当する場合は要注意です。
庭や雨樋への破片の落下を確認する
庭先やベランダに、平らな石のようなスレート屋根の破片が落ちていないか確認してください。
また、雨樋に黒い欠片が大量に溜まっている場合も、屋根材の崩壊が始まっているサインです。
地上から屋根の症状を目視する
双眼鏡などを用いて、地上やベランダから屋根を観察してみてください。
屋根材の先端が白っぽく変色し、ミルフィーユのように薄くめくれ上がっている(層状剥離)場合や、無数のひび割れ、大きな欠けが見られる場合は、塗装で保護する段階を過ぎています。
※屋根の上は大変滑りやすく、劣化した屋根材は踏んだだけで割れてしまうため、ご自身で屋根に登ることは絶対に避けてください。
外壁塗装とセットで提案された際の落とし穴と注意点

外壁塗装を検討した際、業者から「足場を組むついでに屋根も一緒に塗るとお得ですよ」と提案されることはよくあります。
確かに足場代を節約できるため合理的に思えますが、注意が必要です。
外壁塗装をメインとする業者の場合、屋根材の専門的な知識が乏しく、パミールなどの「塗装NG屋根材」であることを見抜けずに、外壁と同じ感覚で塗装の見積もりを出してしまうケースが少なくありません。
もし、塗装できない屋根に塗装してしまうと、塗料の質に関わらず数年後に屋根材ごと塗膜が剥がれ落ちてしまいます。
結局は新しい屋根に葺き替えるための費用と、再度足場を組む費用が二重にかかってしまいます。
「ついでに屋根塗装も」と提案された場合は、業者が屋根材の製品名や製造年代を把握しているか、劣化症状に基づいた論理的な説明があるかを必ず確認してください。
「塗装できない」と言われた時の最適な解決策は「屋根カバー工法(屋根重ね葺き)」

「うちの屋根は塗装できないのか…」と落ち込む必要はありません。
無理に塗装をして数年でダメにしてしまうよりも、長い目で見てコストパフォーマンスが良い「屋根カバー工法(屋根重ね葺き)」という選択肢があります。
屋根カバー工法とは?
現在の古い屋根材を解体・撤去せずにそのまま残し、その上から新しい防水シート(ルーフィング)を敷き込み、さらにその上に軽量な新しい金属屋根(ガルバリウム鋼板やSGL鋼板など)を被せて固定する工法です。
屋根カバー工法のメリット
- 撤去費・廃材処分費を大幅に削減できる
古い屋根材を剥がさないため、解体費用と産廃処分費用がかかりません。 - アスベストの飛散リスクがない
既存屋根にアスベストが含まれている場合でも、安全に封じ込めることができます。 - 工期が短く、生活への影響が少ない
解体工程がないため数日で工事が完了し、住みながらの工事が容易です。 - 断熱性・遮音性が向上する
屋根が二重構造になるため、夏場の遮熱効果や雨音の軽減が期待できます。
長い目で見たコストで考えると、塗装するよりも安上がり
塗装工事は1回あたりの初期費用(約50万〜80万円)は安く見えますが、寿命は10年程度であり、足場代をかけて何度も塗り直しが必要です。
しかも、塗装不適合屋根の場合は数年で無駄になってしまいます。
一方、初期段階で高耐久な金属屋根を用いたカバー工法(約80万〜150万円)をおこなえば、その後30年近く大規模な屋根修繕が不要になります。
目先の安さだけで判断せず、将来の修繕回数を減らせる屋根カバー工法を選択することが、結果的に安上がりな選択と言えます。
状況によっては「屋根葺き替え」や「部分補修」が必要なケースも

ただし、どんな屋根にでも屋根カバー工法ができるわけではありません。
屋根の劣化状況によっては、別の工法を選ぶ必要があります。
屋根葺き替え工事が必要なケース
すでに雨漏りが室内にまで及んでいる場合や、屋根に乗るとフカフカ沈む場合は、屋根材の下にある「野地板(木の下地)」が腐食しています。
この状態で上からカバー工法をおこなっても、新しい屋根材を固定する釘が効かず、内部で腐食が進行してしまいます。
このような場合は、古い屋根をすべて撤去し、下地から完全に新しく作り直す「葺き替え工事」が必須となります。
日本瓦など凹凸の多い形状や重量のある屋根材の場合も、葺き替え一択となります。
部分補修(差し替え・板金工事)で済むケース
屋根材全体の劣化は少なく、台風などの飛来物で数枚だけ割れてしまった場合は、その部分だけの「差し替え工事」が可能です。
また、雨漏りの原因の多くは屋根材本体ではなく、屋根の頂上にある「棟板金(むねばんきん)」の浮きや、瓦屋根の「漆喰(しっくい)」の崩れ、雨樋の破損などです。
これらの部位は適切な補修や交換をおこなうことで、屋根全体の寿命を延ばすことができます。
関西エリアの屋根リフォームなら株式会社ゼファンにご相談ください
「我が家の屋根が塗装NGの製品ではないか点検してほしい」
「他社で塗装の見積もりをもらったが、本当に塗って大丈夫なのか不安だ」
このようなお悩みをお持ちの方は、大阪・関西エリアで年間2,000件以上の施工実績を誇る株式会社ゼファンにぜひご相談ください。
近年、関西圏でも大型台風による甚大な屋根被害が頻発しています。
ゼファンでは、地域の気候特性や台風リスクを熟知した屋根修理のプロフェッショナルが、ドローンなどを活用して安全かつ緻密に屋根の状態を診断いたします。
私たちゼファンは、お客様にとって無駄になってしまう「意味のない屋根塗装」はお勧めしません。
既存の屋根材の種類を正確に見極め、下地の状態まで徹底的に調査した上で、塗装・カバー工法・葺き替えの中から、お客様の建物の寿命を最も長く保つ最適なプランをご提案します。













