
下地が金属屋根の場合に、屋根カバー工法を行うことはできるのでしょうか?
結論を述べると、金属屋根に屋根カバー工法を行うことはできますが、条件によっては向いていない・できないことがあります。
今回の記事では、金属屋根に屋根カバー工法を行うことができる条件、屋根カバー工法のメリット・デメリット、金属屋根に屋根カバー工法を行った施工事例などを、解説していきます。
下地が「金属屋根」の場合に「屋根カバー工法」を行うことは可能?

先にも述べたように、下地が金属屋根の場合に屋根カバー工法を行うことは可能ですが、条件によっては向いていない・できないこともあります。
例えば、横葺きで断熱材一体型の金属屋根材を使っている場合は、屋根カバー工法が向いておらず、工事を実施できるかどうかはプロの目で慎重に判断しなくてはいけません。
また、新築住宅でよく採用されている立平(たてひら)葺きの場合は、屋根カバー工法を行うことはできますが、野地板を敷く必要があるため、コストパフォーマンスがよくありません。
さらに、波型トタン屋根の場合は、屋根カバー工法を行うことはできず、張り替えとなります。
下地が金属屋根であるかどうかに限らず、屋根材の劣化が激しい場合・下地まで傷んでいる場合も、屋根カバー工法を行うことはできません。
一度既存の屋根材を撤去して新しい屋根材を張り直す、屋根張り替え工事が必要です。
金属屋根に屋根カバー工法を行う4つのメリット

- 工事費用を安く抑えられる
- 工事の期間が短い
- 屋根の防音性や断熱性が高まる
- 屋根の構造材がほとんど傷まない
上記は、屋根カバー工法で得られる4つのメリットです。
それぞれのメリットを、以下で解説していきます。
1.工事費用を安く抑えられる
屋根カバー工法は、既存の屋根材を残したまま施工するため、屋根材の撤去費用・廃材の処分費用がほとんどかかりません(屋根カバー工法で処分するのは、多くの場合、棟板金や貫板のみです)。
よって、屋根材を交換する葺き替え工法よりも、費用が安く抑えられるというメリットがあります。
2.工事の期間が短い
屋根カバー工法は解体・撤去の工程がほとんどないことから、工事期間が短く済む場合が多いです。
例えば、葺き替え工法で10日間かかる場合、屋根カバー工法なら7日程度で工事が終わります(目安)。
工事が短く済むということは、騒音や人の出入りなどのストレスに耐える時間が短くて済むということです。「ご近所の迷惑になっているのでは?」と不安に思う時間も減らせます。
先ほど屋根カバー工法のメリットの1つとして、工事費用を安く抑えられることを挙げましたが、工事の期間が短いこととも関係しています。
3.屋根の防音性や断熱性が高まる
屋根カバー工法は、既存屋根のうえに新しい屋根を重ねるため、屋根が二重になり、屋根の断熱効果を高めることができます。
屋根の断熱がよく機能すると、室内の冷暖房効率が上がり、月々の光熱費を抑えられます。
また、屋根カバー工法は既存の屋根材と併せて二重の屋根に仕上げるため、屋根に当たる雨音が小さくなるなど、防音性のアップも期待できます。
さらに、屋根カバー工法ではルーフィング材(防水シート)を必ず施工するため、屋根の防水性能が上がり、雨水の浸入を食い止めやすくなります。
4.屋根の構造材がほとんど傷まない
葺き替え工事のために屋根材を剥がす時、無理な力を加えて剥がしてしまうと、屋根の構造材である野地板や垂木(たるき)に負荷がかかり、傷んでしまうリスクがあります。
もちろん、そうしたリスクを最小限に抑える丁寧な施工を行う業者を選ぶことが重要ですが、工事の質を見極めるのは簡単ではありません。
その点、屋根カバー工法であれば既存の屋根材を撤去せずに施工できるため、構造材に直接手を加える必要がなく、構造材を傷めるリスクを抑えやすいことがメリットです。
金属屋根に屋根カバー工法を行う3つのデメリット

- 使用可能な屋根材が限られている
- 屋根カバー工法は1度きりしかできない
- 火災保険の修繕で屋根カバー工法を行う場合、補償対象外となることがある
屋根カバー工法には、工期・費用面で大きなメリットがある一方で、上記のようなデメリットもあります。
1.使用可能な屋根材が限られている
屋根カバー工法に使う屋根材は、凹凸が少なく、軽量でなくてはいけません。
見た目・質感が気に入った屋根材を自由に選べるわけではないことが、人によってはデメリットになる可能性があります。
2.屋根のカバー工法は1度きりしかできない
屋根のカバー工法は、1度きりしか行えません。
理由は単純で、二重になっている屋根にさらに屋根材を追加すると、屋根が重くなりすぎて住宅に大きな負担がかかってしまうためです。
3.「火災保険の修繕」で屋根カバー工法を行う場合、補償対象外になる場合がある
台風・強風で屋根が破損したために、修繕に屋根カバー工法を選ぶ場合、補償の対象外となる場合があります。
火災保険で補償金の申請をする場合、「被害に遭う前の状態に戻すこと」を前提にした見積書を提出する必要があり、屋根カバー工法ではこの「元に戻す」という観点で審査に引っかかることがあります。
そもそも、台風・強風で屋根が破損したケースでは、下地まで劣化していることが多いです。下地から補修できる葺き替え工事のほうが、適しているでしょう。
金属屋根に屋根カバー工法を行った3つの事例
以下では、当社『ゼファン』が金属屋根に屋根カバー工法を行った事例を3つご紹介します。
1.立平(たてひら)葺きの屋根カバー工事 大阪市淀川区

- 工事概要:屋根カバー工事
- 施工費用:160万円(税込)
- 施工面積:103㎡
- 屋根の形:棟違い屋根
- 工期 :5日間
大阪市淀川区にて、立平葺きの屋根カバー工事を行いました。
「屋根の経年劣化が進み、棟板金が破損している」とお問い合わせをいただき、今後のメンテナンスのことを考えて、立平葺きの屋根カバー工事を提案しました。
<事例を詳しく見る>
⇒ 大阪市淀川区 屋根重ね葺き工事【立平葺きへ】
2.立平葺きの屋根カバー工事 奈良県生駒市

- 工事概要:屋根カバー工事・雨樋新設工事
- 施工費用:総額200万円(税込)
- 施工面積:127㎡(屋根)
- 屋根の形:寄棟
- 工期 :9日間
奈良県生駒市にて、立平葺きの屋根カバー工事を行いました。
お客さまより「既存の屋根材が劣化している」と、お問い合わせをいただきました。
葺き替え工事も良い選択肢ではありましたが、費用面を重視して、コンパネを増し張りし下地補強してからの立平葺き工事を提案させていただきました。雨樋も新しい箇所に施工しました。
<事例を詳しく見る>
⇒ 奈良県 生駒市 屋根重ね葺き(立平)・雨樋新設工事
3.立平葺きの屋根カバー工事 大阪市中央区

- 工事概要:屋根カバー工事
- 施工費用:総額78万円(税込)
- 施工面積:43㎡
- 屋根の形:切妻
- 工期 :2日間
大阪市中央区にて、立平葺きの屋根カバー工事を行いました。
足場を整えることに工夫が必要でしたが、綺麗に仕上げることができました。
<事例を詳しく見る>
⇒ 大阪市中央区 屋根重ね葺き工事(立平葺きへ)・箱谷板金入れ替え・樋交換工事
信頼できる屋根工事業者の選び方

- ネットで調べる(ホームページなど)
- 家を建ててもらった工務店やハウスメーカーに相談する
- 近所の看板を確認する
- 投函されたチラシを確認する
- 知り合いの紹介を受ける
- 自治体で紹介を受ける
上記は、屋根工事の業者を選ぶための様々な手段です。まずは、ネットでよく検索することをオススメします。
どの方法においても、基本的には「地域で長く信頼を得ている業者」を見つけることがベストとなります。
優良な屋根工事の業者を見つけるためのポイントですが、まず、担当者と話している時の相性や、担当者の説明の分かりやすさが手がかりになります。
「なんとなく感じが良い」は根拠のない基準だと思われるかもしれませんが、意外にも大切なことで、工事中はもちろん工事後も長く付き合う可能性があるからこそ、ストレスなく話せて説明もきちんと理解できる業者を選ぶべきです。
また、業者によっては自社施工保証が無かったり、リフォーム瑕疵(かし)保険の対象事業者ではない場合があります。
そのような業者で工事を行うと、後々発覚した施工不良などについて、責任を問うことができません。
リスクが高いので必ず口約束ではなく、保証書を発行してもらえる業者に工事をお願いしましょう。
過去の施工実績をホームページで確認しよう
過去の施工実績をホームページなどで公開していて、
- どのような工事を行っているのか
- どれくらいの実績があるのか
- 工事後にどのような仕上がりになるのか
といったことが分かる業者は、安心度が高いです。
施工実績をよく見ることで、「その業者が何の工事を得意にしているのか?」を推測することもできます。
3社程度に相見積もりを依頼しよう
見積もりを依頼する際には、比較検討できるよう1社だけではなく3社に依頼することをオススメします。
「業者選びの際、何を業者に聞いたらいいのか分からない」とお悩みの方は、下記コラムを参考にしてみてください。
⇒ 屋根業者選び。何を質問すると見分けられる?工事前後の懸念とともに紹介
避けたほうがいい屋根工事業者の特徴
ちなみに、業者選びをするにあたって避けたほうがいいのは、以下のような業者です。
- 飛び込み営業をしてくる
- 不自然な値下げを提案してくる
- 無料での点検をしつこく促す
- 見積もりを出す際に屋根を見ていない
- 現地調査の時間が極端に短い
- 雨天にもかかわらず調査している
- 見積書の内容が曖昧
- 先払いを求めてくる
- 契約書を作成しない
まとめ
以上、「下地が金属屋根の場合に、屋根カバー工法を行うことはできるのか?」について、情報をまとめました。
下地が金属屋根の場合に屋根カバー工法を行うことはできますが、向いていない・できない条件もあるので、プロの目で慎重に判断してもらいましょう。
⇒ 大阪などで金属屋根に屋根カバー工法を行う際は『ゼファン』にお任せください。












