
「瓦屋根は地震に弱い」という話を聞いたことはありませんか? 実はこの話には、大きな誤解が含まれています。
「地震に対する家の強さ」は様々な要素で決まっており、「屋根が瓦であるかどうか(屋根が重いかどうか)」はその1つでしかありません。
つまり、「瓦屋根だから地震で倒壊する」わけでも、「他の屋根材(金属屋根など)だから地震で倒壊しない」わけでもないのです。
とはいうものの、地震対策のために「屋根の軽量化」を行うことは、非常に有効です。
今回の記事では、「瓦屋根は地震に弱い」といわれる理由から、瓦屋根の軽量化の施工事例まで、幅広く解説していきます。
「瓦屋根は地震に弱い」といわれる理由

「瓦屋根は地震に弱い」というイメージは、どこから生まれているのでしょうか。
結論から述べると、屋根材の重さが家の耐震に影響することは事実です。
屋根が軽ければそのぶん、建物の揺れも小さくなると考えられます。
しかし誤解してはいけないのが、「瓦屋根だから倒壊する」というわけではなく、「軽い屋根材だから倒壊しない」というわけでもないことです。
実際に大地震が起きた時に、「瓦が重たいから倒壊した」と間違った内容で報道されたことが、誤解の原因だと思われます(実際は、旧耐震基準の古い住宅が多く倒壊しました)。
住宅の耐震性能は、住宅の骨組み(柱や壁の位置・数など)が躯体の強さに直結しており、躯体が弱ければ軽い屋根材でも倒壊する危険性があります。
つまり、重要なのは「屋根材の重量と躯体の強さのバランス」です。
瓦屋根の住宅にできる「地震対策」は?

現状、瓦屋根の住宅に対して「自分でできること」は、残念ながらほぼありません。
「自分で屋根の上に上がって何かする」という行為は、足を滑らせて落下する危険性があり、非常に危険なため絶対にやめましょう。
いっぽう、「屋根の専門業者に依頼してできること」であれば、いくつかあります。
- 「ガイドライン工法」による棟の取り直し
- 「防災瓦」への葺き替え
- 「軽量な屋根材(ガルバリウム鋼板など)」への葺き替え
1.「ガイドライン工法」による棟の取り直し
「ガイドライン工法」とは、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、棟瓦を連結して建物に固定する施工方法です。
上記により、棟のズレや崩れを防ぎ、地震時の被害を軽減することができます。
古い瓦屋根の場合、棟の固定力が弱まっている可能性があるため、棟の取り直しは特に有効です。
2.「防災瓦」への葺き替え
「瓦屋根のままでは、地震対策ができない?」と思われるかもしれませんが、見た目は屋根瓦のままでも、地震対策をすることはできます。
後ほど詳しく解説しますが、「防災瓦」とは、従来の瓦の弱点を克服して、地震・台風に強いように改良された瓦のことです。ケイミュー社が扱う『ルーガ』シリーズなどが、これにあたります。
防災瓦をしっかり連結して施工することで、瓦のズレ・浮きを防ぎ、耐震性能が向上します。
3.「軽量な屋根材」への葺き替え
瓦屋根を軽量な屋根材(ガルバリウム鋼板など)に葺き替えることで、屋根全体の重量を減らし、建物の耐震性を向上させることができます。
特に「ガルバリウム鋼板」は、一般的な屋根瓦の10分の1程度の重さしかなく、耐久性にも優れるためオススメです。
「屋根の軽量化」については、後ほど詳しく解説します。
地震に強い瓦屋根にするには「防災瓦への葺き替え」が有効

先述した「防災瓦」について、もう少し詳しく解説します。
防災瓦とは、一般的な瓦と比較して、地震・台風に強い瓦のことを指します。
「ロック式」と呼ばれる工法で、瓦同士を連結することにより、耐震性能が大幅に強化されていることが特徴です。
また、瓦を野地板(屋根の土台)に釘で固定することで、耐風性能も向上するなど、まさに「災害全般に対応した瓦」だといえます。
従来の瓦は重量があり、建物への負担も大きかったため、建物が老朽化した場合には「スレート」や「ガルバリウム鋼板」など、軽量屋根材に葺き替える必要がありました。
上記は、屋根の見た目・家の雰囲気を、かなり大きく変えることになり、人によってはそれがネックになります。
しかし防災瓦であれば、瓦の見た目のままで重量が約50%も軽量化されます。
「今の家の雰囲気を変えたくない」「だけど地震にも備えたい」という方にとっては、防災瓦への葺き替えが第一候補になるでしょう。
地震に備えるためには「屋根の軽量化」がポイント

「屋根を軽量化すれば、地震に強い家になるので安心です」と説明する業者がいて、これは合っているのですが説明不足で、あくまでもお家全体を調査して、建物の耐震性が向上するように必要な工事の検討をすることが重要です。
上記を踏まえたうえで、「屋根の軽量化」は地震対策において、1つの有効打であることは確実です。
- 耐震性が上がる
- 屋根材の落下による被害を防げる
- 工期が短い
屋根を軽量化することには、耐震性が上がることを含めて、3つのメリットがあります。
メリット1.耐震性が上がる
屋根を軽量化する大きなメリットは、耐震性が上がる点です。
基本的には建物の総重量が重いほど、建物の構造に負荷がかかるため、総重量が軽い建物に比べ耐震性が低くなります。
そのため、重たい屋根を軽くすることができれば、耐震性の向上が期待できます。
また耐震性を高めるためには、建物の重心を下げることも有効です。
屋根は建物の中でも高い部分にありますが、これをなるべく軽いものに変更することで、建物全体の重心を低くすることができます。
屋根の軽量化は、建物の総重量を減らすうえに、建物全体の重心も低くすることができます。
なお、屋根の軽量化を含めて、耐震基準に適合した耐震補強工事を行っていれば、建物の即時倒壊を予防できる可能性が高く、安全に避難できる時間を確保することに繋がります。
メリット2.屋根材の落下による被害を防げる
屋根材が軽くても、落下の被害を100%防ぐことは難しいですが、軽い屋根にしているほうが落下時のリスクは低くなります。
地震・台風などで重い屋根材が落下した場合、下に人がいたら、当たって大怪我をしてしまう(させてしまう)リスクがあります。
万が一の被害を防ぐためにも、軽い屋根を選択しておくメリットは大きいです。
重い屋根の代表といえば「瓦」ですが、瓦は落ちた時に割れて飛散するリスクが高く、大地震の際に足場を荒らしてしまうケースが考えられます(靴を履けない場合に、裸足で逃げ出すことが難しくなる)。
「地震が起きた時に逃げ道を塞がない」という意味でも、屋根の軽量化は有効です。
メリット3.工期が短い
重たい屋根材は運びにくく動かしにくいため、工期が長くかかってしまいがちです。
いっぽう軽い屋根材は、スムーズに運んで作業することができ、工期を短くできます。
工期を短くできるということは、コストを抑えられるということなので、大きなメリットです。
浮いたお金を、他の耐震工事や地震対策に回すこともできるでしょう。
<参考コラム>
⇒ 「耐震」と「屋根」の関係性は?屋根の軽量化は有効!葺き替えで屋根を軽くしよう
「瓦屋根の軽量化」を実現した事例
以下では、当社『ゼファン』で工事を行い、瓦屋根の軽量化を実現した事例を3つ紹介します。
1.瓦屋根から『ルーガ鉄平』への葺き替えで屋根を軽量化 兵庫県尼崎市

- 工事概要:屋根葺き替え工事(ルーガ鉄平)・破風板金工事
- 施工費用:総額88万円(税込)
- 施工面積:32㎡(屋根)
- 屋根の形:切妻
- 工期 :5日間
兵庫県尼崎市で、屋根の葺き替え工事などを行いました。
築50年以上の住宅で、「雨漏りしている」とお問い合わせをいただいたことが、依頼のきっかけでした。
大屋根だけの施工になるため、(今回は葺き替えない)下屋根の瓦と違和感のない屋根材を選ぶ必要があり、「防災瓦」とも呼ばれる『ルーガ鉄平』を提案しました。
ルーガ鉄平は、「ルーガ」という屋根材の種類の1つです。
ルーガとは、外装建材の大手メーカー・ケイミューが販売する新素材の屋根材で、「陶器瓦の代わりになる高品質な屋根材」として、人気が高まりつつあります。
ルーガの成分名称は、「樹脂混入繊維補強軽量セメント瓦」といい、近年普及が進むスレートと同じ素材で作られています。
- 瓦のような見た目
- スレートのような軽量性
上記2つを兼ね備えているのが、ルーガならではの強みです。
ルーガには「鉄平」のほか、「雅」というデザインがあり、
- 和風住宅には『ルーガ雅』
- 洋風住宅には『ルーガ鉄平』
というように、使い分けを行います。
<事例を詳しく見る>
⇒ 兵庫県 尼崎市 屋根の葺き替え(ルーガ鉄平)・破風板金工事
2.瓦屋根から『ルーガ雅』への葺き替えで屋根を軽量化 大阪市平野区

- 工事概要:屋根葺き替え工事(ルーガ雅)・外壁塗装工事・雨樋交換工事
- 施工費用:総額420万円(税込)
- 施工面積:110㎡(屋根)
- 屋根の形:寄棟
- 工期 :1週間(屋根)、6日(外壁)
大阪市平野区で、屋根の葺き替え工事などを行いました。
「瓦が経年劣化しているので、屋根のリフォームを考えている」とお問い合わせをいただきました。
お客様の希望は、「屋根を軽くして災害に強い屋根にすること」でしたので、防災瓦である『ルーガ雅』を提案しました。
先述のルーガ鉄平とも共通しますが、ルーガ雅には以下のメリットがあります。
- 割れにくく、飛ばされにくい(台風に強い)
- 軽い(地震に強い)
- デザイン性が高い(昔ながらの建築にも合う)
- 色あせにくい(再塗装までの間隔が長い)
- 断熱効果がある(お家の中で過ごしやすくなる)
今回は屋根の葺き替え工事だけではなく、外壁塗装工事・雨樋交換工事も行ったため、外回りが一気に綺麗になり、お客様に大変ご満足いただけました。
<事例を詳しく見る>
⇒ 大阪市平野区 屋根葺き替え【ルーガ雅へ】・外壁塗装工事
3.瓦屋根から『スーパーガルテクト』への葺き替えで屋根を軽量化 大阪府守口市

- 工事概要:屋根葺き替え工事(スーパーガルテクト)
- 施工費用:総額116万円(税込)
- 施工面積:44㎡
- 屋根の形:切妻
- 工期 :7日間
大阪府守口市で、屋根の葺き替え工事を行いました。
「瓦屋根の一部破損部分から雨漏りがある」と、お問い合わせをいただきました。
お客様は「今後の耐震を重視したい」という考えだったため、軽量屋根の『スーパーガルテクト』を提案しました。
スーパーガルテクトとは、アイジー工業株式会社が販売している、国産の金属屋根材です。
スーパーガルテクトは、サビに強く、沿岸地域などでも優れた耐食性を発揮する超高耐久ガルバを採用しています。
また、スーパーガルテクトは大幅な軽量化も実現しており、スレート屋根の「約1/4」の重さ、和瓦の「約1/10」の重さしかありません。
スーパーガルテクトには、以下10のメリットがあります。
- 軽いので、家の構造への負担が少ない
- 耐久性が高い
- 断熱効果が高い
- 火に強い
- 風に強い
- 屋根内部に雨水が入り込みにくい
- 屋根材の裏側まで錆びにくい
- 遮熱性が高い
- 釘打ち部に雨水が入り込みにくい
- 供給が安定している
雨予報が多い週だったため、先に一部破損個所を補修し、工事までの雨漏りをしのいでいただき、工事に入りました。
また住宅がかなり隣接していたため、お隣さんにご迷惑をおかけしないように、人数を多く入れて数日で工事を終わらせました。
<事例を詳しく見る>
⇒ 守口市 屋根葺き替え工事【スーパーガルテクト】
まとめ
以上、「瓦屋根は地震に弱い」といわれる理由から、屋根の軽量化の施工事例まで解説しました。
記事の中でも述べたように、「瓦屋根は地震に弱い」というのは誤解です。
お家の耐震性が心配な方は、専門業者に依頼して「耐震診断」を行い、
- 屋根の軽量化
- 耐力壁の増設
- 基礎の改修
- 接合金物の設置
など、必要な耐震工事を行いましょう。
⇒ 大阪などで屋根の軽量化を行うなら実績豊富な『ゼファン』にお任せください。
